「ワルツ・フォー・デビー/ビル・エヴァンス」と言えば抒情的なメロディーが魅力の名盤だが、この作品では、スウェーデンの歌姫モニカ・ゼタールンドがビル・エヴァントリオの演奏で気持ちよく歌っている。
北欧のジャズ歌手は一体どのくらいにジャズっぽいのだろうと思ったものだが、聴いてみると、ムーディでスウィンギーで情念的で感心した。表題作「ワルツ・フォー・デビー」では、メロディとよく似合う可憐なボーカル(しかし芯がある)に一転する。スウェーデン語によるボーカルも不思議な情感を醸し出している。
リリカルで柔らかいビル・エヴァンスの演奏の魅力は言うまでもない。録音かミキシングの加減かもしれないが、ブンブンと気持ちよく響くベース(チャック・イスラエル)も印象的だった。
ポップな軽みとジャズ的情念の両方の魅力が味わえる好盤だと個人的には思う。余談だがM10“IN THE NIGHT”の出だしが演歌っぽくて笑える。