本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

セカンド・サマー/アン・ブラッシェアーズ

仲良し四人組の誰にでも似合ってしまう魔法のジーンズが旅する二度目の夏は、それぞれの娘たちと母との対決編である。

両親が離婚し、シングルマザーの母に育てられてきたカルメンは、母親に恋人が出来、毎日うきうき過ごしているのが我慢ならず、子供じみた嫌がらせをして母親を泣かせる。

遠距離恋愛に悩むレーナは、母親の恋人だったユージーンという男の噂を聞きつけ、母に問いただして拒絶され、冷戦状態となる。

幼い弟妹にかまけている両親を見るにつけ、自分は余計者かもしれないと僻むティビーは、映画実習のサマースクールで、母親を笑い者にするようなプライベートフィルムを制作してしまう。

当たって砕けろ的な性格のビー(ブリギット)は、昨年の恋愛の失敗以来、得意のサッカーを止め、引きこもってしまう毎日だ。しかし、母が自殺して以来、無気力で家庭人としては失格の父親が祖母からの手紙を隠していたことを知り、母のルーツを求めて祖母の住むアラバマへ旅立つ。

悩み多き十七歳の娘たちは、同性ゆえに母親のことが気になり、そしてぶつかることになるのだろう。そして絆を確かめ合っているが、濃密な母娘愛が切なく息苦しく、これは男の自分には立ち入れない部分かもしれない。この母親たちすら自分より年下だが、どうもこの手の小説を読むと、主人公の若者の方がより身近に感じられるから不思議だ(笑)。