本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

園芸少年/魚住直子

よんどころなく園芸部に入部してしまった三人の男子高校生を描く青春小説。

進学校に入学した篠崎達也は、昼休みに一人でまったりできる場所を見つけ、和んでいると、絵に描いたような不良ファッションのコワモテ大和田一平と遭遇する。大和田ものんびり過ごしに来ていたのだが、こここそ、現在は部員のいない園芸部の活動場所なのであった。葉っぱがしおれている鉢に枯れた鉢に飲み物の水をやったら蘇ったりして、喜んでいる二人が楽しいが、そういう感動こそが園芸の喜びの第一歩だ(笑)。

ここに加わるのがBB(ボックスボーイの略)こと庄司善男で、中学時代にいじめに遭って不登校になり、箱をかぶらなければ出歩けないような状態であり、相談室で自習する形で登校しているのだ。

この三人が、友情を育み、そしてそれぞれの抱える問題(篠崎には問題はないが)が解決されていくのだろうなぁと言うのは見て取れるので(そういう正義で終わらなければ児童文学足りえない(笑))、その過程がこの手の小説の重要なポイントである。

しかし、その過程については可もなく不可もないという感じで、あぁ良かったなぁと思うが、それ以上の感動はない。むしろ、栽培に関しては積極的な庄司とか、学校の花壇をきれい仕上げて種苗会社から表彰されたりと言った園芸的なディテールが楽しかった。