当たり前のように怪獣が現れ、対処の失敗によっては甚大な災害を引き起こす日本を舞台に、気特対（気象庁得意生物対策部）の活躍を描くＳＦであり、熱い公務員小説でもある（笑）。ＭＭとはモンスター・マグニニュードの略で、体重測から被害の大きさを予測する数値。
出現を補足したらどんな怪獣か識別し、対処の手段を考え、処置は自衛隊に任せる気特対は、まさに気象災害発生時と同じようなものなのだろう。地震や台風の如く怪獣の出現の予知は難しく、対処に失敗すると被害が甚大になるため、例え対処に成功した事例があっても気特対に対する国民の評判は今ひとつよろしくない。それでも頑張るメンバーたちの公務員魂が熱い（保身しか考えていないような上役ですら）。
メンバーには、生物学、化学畑の他に、歴史学や民俗学、更には物理学のスペシャリストもいる。怪獣の体構造は物理法則を無視しており、その方面からの研究もあるわけだ。怪獣出現のメカニズムについては物理学者の仮設があるが、一見理論的な説明があったりしてＳＦ心をくすぐる（笑）。後に謀略につながるような伏線の利いたサスペンスでもあり、なかなか読ませる力作だ。
