本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

せいぜいがんばってください。

北京オリンピックに出発する選手団に向けて、二代前の首相(昨年なのに二代前)が「せいぜいがんばってください」との激励(?)を贈ったという話がある。「せいぜい」は「相手の力を見くびる時」や「予測しうる数値が低めに限定されそうな時」などに使われるが、元首相の真意としては「持てる力の範囲内でとにかく頑張ってください」ではなかったかと推測している。

先日までの首相は、自分では伝法さが自慢だったように見受けられる。だみ声で鼻づまりで舌足らずなのは持ち前で仕方なかったのかもしれないが、妙な節回しで語尾を伸ばす話し方は伝法とかいなせとかのかっこよさはなく、ひねくれてからんだり、相手の発言を混ぜっ返したりおちょくったり、一国の最高権力者たる風格が感じられなかったなぁ。やっぱり政治家の言葉は誠実そうに聞こえた方が得のような気がする。

さて、今度の首相だが、あまり演説が得意とは思えない、訥々とした話し方に却って信頼が置けそうに思う。「人は見た目が9割」なんて言うし、たとえ外見(そとみ)だけだとしても印象は大事なのだ。せいぜいと言わず、大いに頑張って頂きたい。



選挙権を得てからずっと野党側に投票してきた。投票先はその折々で変わったが、まさか本当に政権交代が実現するとは・・・。

選挙直後、「民主党が勝ったのではない。政権与党が否定されたのだ」という台詞がマスコミからも与党側からもよく聞かれた(負けた方が言っても引かれ者の小唄にしか聞こえないが)。「よりまし」な方を選ぶのが選挙であると発言するジャーナリストがいるが、それを考えればまさに「よりまし」なのは民主党だったということだろう。政権選択が現実のものとなった今、選挙は前政権の信任(不信任)投票ということになりつつあるのかもしれない。