本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

コストパフォーマンスの悪い作家

改行が多く、紙面が白っぽい作家のことを「コストパフォーマンスの悪い作家」と呼んでいる。戦前の小説などは字間ピッチも改行ピッチも少なく、一面黒ベタな感じの紙面は読もうとする意欲減退するものがあるが、おそらくスペースの半分以上が空白と思われるスカスカ本も同様である。色々な意味でもったいない(笑)。

この手の作品は娯楽文庫などに多く、通勤の行き帰りにスラスラ読めるためにはある程度仕方ないとは思うが・・・。

コストパフォーマンスの悪い作家の筆頭格は夢枕獏だ。幾ら読みやすさが求められているからと言って、一文章一段落はいかがなものだろう。あの文章がもう少し固まりになっていれば、おそこまで本が分厚くなることもあるまい。

池波正太郎の「鬼平犯科帳」は大変に面白い時代人情活劇シリーズだったが、これも実にスカスカ本だった。一つの文章を、下記のように文節ごとに三行に分けて書いたりする手法は反則だと思うが、それが一つの味わいになっていたのだから、

それも
「芸」
なのではあるまいか(笑)。



池波正太郎の亡くなったのが15年くらい前だろうか。5〜6年前に「鬼平」を知り、とても面白く読んできたが、もうこれ以上読めないかと思うと残念で、最後の一冊(未完の長編)だけは手を付けないでいる。