本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

読む気にならない作家たち

尊敬する書評ブログ「血止め式」エントリーに、ブログのカテゴリ分けについて引用部のような一文がある。
http://d.hatena.ne.jp/hebakudan/20090403/1238718805

ところが読書録の積み重ね方ほどその人間の物の見方を察しやすいものはなく、これを一目で分かるような示し方ができれば、初めてダイヤリーを訪れてくれたかたのための自己紹介代わりにもなると考えた。たとえば「この本がどうしてこんなジャンルに入ってるんだろう」、「この筆者はこの本の主題をこんな方向から読むやつなのか」というような思い方などは好んで本を読むタイプの人だけが観察してくれるところであるはずで、おそらく誰にでもただちに通じる種類のものではないゆえにこうした一覧さらしが気楽にできるのでもあるし、アタシの血液型はどうたらボクの星座はこうたらと書いた魔除け札みたいなプロフィールなんぞより、嫌いな作家の名が5つ列挙された自己紹介文のほうが私ならはるかにその人物の空気を読み取りやすいのである。

鋭い批評眼、深い洞察力、厖大な知識、ややひねくれた物の見方(すみません!)等、自分などは足下にも及ばないhebakudan氏だが、「嫌いな作家の名が5つ列挙された自己紹介文」に甚だしく感銘を受けたので考えてみることにした。ただし、嫌いな作家というより読む気にならない作家である(同じことか?)。

五人列挙してみると、太宰治谷崎潤一郎松本清張吉行淳之介渡辺淳一になった。

社会派ミステリーが苦手だからという理由で松本清張は一冊も読んだことがない。ミステリー好きを標榜しながら巨匠の作品を未読なのも一興ではないかと思い、この生涯を貫いていきたいと考えている(笑)。

太宰治は自分の弱さを売り物にしている点が嫌で、教科書に出ていた「走れメロス」以外読んでいない(島崎藤村も似たようなものだが、かつて信州ミーハーだったのでちょっと点が甘い)。

他の三人もほとんど読んだことがないので実は食わず嫌いかもしれないが、性愛が主要なテーマなのであろうと思う。アレは「秘めごと」というくらいで声高に語るものではないと考えているし(秘めているからなおさらエ○い(笑))、実体験など赤裸々に語られても疎ましいだけである。エ○小説はその部分が主要な商品だから納得できるのだが、エロスなどと称してな妙に気取って語られると鼻について仕方なく、お下劣のような気がしている(しかし文豪に対して何て失礼な物言いであろうか(笑))。

「渡辺作品は中年男願望充足小説である」という批評を見たことがあるが、主に中年ビジネスマンを対象にしたエ○小説ではないかと思っている。会社で川上宗薫や宇野鴻一郎を読んでいたらまずいと思うが、渡辺淳一ならOKなのかもしれないし、妙にマニュアル的だったりするのもビジネスマン受けしやすい要因だろうか。