本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

天山の巫女ソニン 一 黄金の燕/菅野雪虫

朝鮮半島と思しき架空の世界を舞台に、誠実で活発な落ちこぼれ巫女の活躍を描く児童向けファンタジーシリーズの第一巻。書評家の北上次郎が絶賛していたので読んでみたら確かに面白かった。

夢見の力で予言をする天山の巫女集団は、才能に目を付けた幼い娘を引き取り、子供の頃から巫女としての教育を施している。母親の胎内にいるうちから見込まれたソニンだが、長ずるに従い夢見の力にムラが出始め、ついに山を下ろされてしまうことになる。

当惑しながらも両親と姉は暖かくソニンを迎え入れ、ミンという跳ねっ返りの友人(自堕落な父親を持ちながら真っ直ぐに生きている少女)が出来たりして穏やかな日々が続くが、王国の王子との邂逅から運命が大きく回り出す。

七人いる王子のほとんどは見目麗しく、国中の娘のアイドルだ(韓流スターか?(笑))。ただ、末弟は言葉を出せない障害を持っているが、ソニンとのみ意思の疎通が出来る分かり、侍女として休廷に上がることになるのである。このあたりは、見たことがないがチャングムっぽいような気もする(笑)。

半島には三つの国があり、ソニンの住む沙維は人格者の王が治めているが、江南と巨山がきなくさい。そして、その紛争を利用しようとする奸悪な者たちによってソニンはトラブルにはまり込むのだった。

ソニンの孤軍奮闘が健気でつい応援したくなる。全編に何となく「魔女の宅急便」に近いものが感じられ、宮崎アニメの題材として打って付けではないかと思った。