本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

LONESOME隼人/郷隼人

LONESOME隼人

アメリカで犯罪を犯し、終身刑を受けている懲役囚の歌文集。この人は朝日歌壇の常連で、短歌を時折目にするが、刑務所暮らしの悲哀や事件や望郷の思いを壮絶な諧謔と抒情で綴って印象的である。

大坂朝日に連載されたエッセイが併録されているが、猫や小鳥など動物との交流、刑務所の庭に咲く野の花、ルームメートとなった囚友、日本食を差し入れてくれた親切な看守、刑務所暮らしのコツ、白米を炊いてしまう発明、食事に出たトマトから種を採り育ててしまった話など、身近な事物を情緒たっぷりに描ける筆力は大したものだと思い。これだけの文章を書ける人が何故重罪を犯したのか、とも思うが、「無知の涙」の例もあることだし・・・。

短歌は下記のウェブサイトでご覧になれます。
http://www.mt-non.cside.com/hayato/index.html