本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

日本語でなまらナイト しのざき教授のなまらやさしい方言講座/柳川孝子 監修しのざきこういち

2年ほど前に女子高生の間で方言が流行っているということがあったが、その流行に材を採った、方言学者が酒場でうんちくを披露しているような語り口の方言コラム集とでも言えようか。言語学者が監修者として名を連ねているところを見ると、本文を執筆しているのが柳川孝子という著者なのだろう。

『「うる星やつら」のラムちゃんの「だっちゃ」はどこの言葉か』『クレヨンしんちゃんが使う「おら」は春日部限定方言か』『スマップの中居が使う「〜だべ」は方言なのか』等、肩の凝らない話題を前フリにして各地の方言を語っていて楽しめる。

後半は都道府県ごとの方言の特徴を簡単に挙げていて、「共通語な方言」という言い方が頻々と登場する。ある地域内でしか使用されない語を共通語として認識している誤解を言ったもので「気づかない方言」と呼ばれるものらしい。例として「ラーフル」が挙げられていたが、これは鹿児島・宮崎で黒板消しのことだそうである。黒板消し、黒板拭きなど、これも地域によって使い方が変わっている。

壁新聞に使う模造紙は、愛知・岐阜「びーし(B紙)」、富山「雁皮」、長崎・熊本「広洋紙(ひろようし)、広幅洋紙」、新潟・福島・鳥取・高知・熊本「大洋紙(たいようし)」、山形「大判紙(おおばんし)」、香川・愛媛「鳥の子洋紙」などに別れるそうだが、おそらく明治以後に入ってきた物に対し、これほど呼び名が違うというのも面白いものだ。

横浜で最近の若者が使う「共通語な方言」として、線引き(定規)、横入り(割り込み)が挙げられていたが、これなど自分の世代が使ってきた言葉であり、そうか、横浜限定だったのかと、ちょっと驚いた。そういえばインターネットを始めた5〜6年前、横レスと言う言葉を知らず、横入りを使っていたのが懐かしい思い出である(笑)。

まぁとにかく肩の凝らない方言おもしろ本だった。