本・花・鳥(ほん・か・どり)

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はてなの茶碗by桂南光

NHK教育日本の話芸」で、桂南光演じる「はてなの茶碗」を放送していた。

清水寺の茶屋で安茶碗に「はてな」と首をかしげている御仁がいる。有名な茶道具商「茶金さん」である。

そばで休んでいた油売りが、茶金さんが「はてな」と言った以上なにがしかの値打ちがあると踏み、この茶碗を脅迫づくで茶屋から買い受けて茶金さんの店に持ち込むが、「穴がないのに漏るからはてなと首をかしげたもの。別に値打ちものではない。」と言われてしまう。

恥じ入った油売りに対し、茶金さんは自分の名前を評価してくれたことのお礼だということで、茶碗を三両で引き取る。

しかし、この逸話を面白がる風流な殿上人が現れ、やんごとなきお方の箱書きなども添えられて、いつしか本当に千両の値打ちになってしまうのであった。



詳細なストーリーは↓などご参照ください。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/6684/hatena.html

茶金さんはこの千両を独り占めするわけにはいかないと、油売りを探し出して半分の五百両を分けようとするが、「自分が持っていても三両の欠け茶碗。茶金さんが手にしたからこそ千両の値打ちが出たのだ。」と、一度は固辞する油売りの台詞が気持ちよい。油売りの気っ風の良さが感じられて、この話の中で一番好きな部分なのだ(最終的には五百両を受け取るのだが・・・(笑))。

演じている桂南光は故桂枝雀の弟子である。時折のしぐさや表情に師匠の面影が感じられるが、師匠そのままではなく、自分なりに消化しているからよろしい。まるっきりコピーになっている弟子もいたりするが、それでは単なる物まねに終わってしまうんだろうなぁ・・・。