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ワトソン博士のDNA

DNAの二重螺旋構造を解き明かし、フランシス・クリック博士と共にノーベル賞を受賞したジェームズ・ワトソン博士が、自分のDNAを全公開するそうだ。

遺伝について多方面から検証して貰おうという試みなのだろうが、こういう時に、遺伝子のどの部分がノーベル賞受賞に至らせたのだろうか、などと考えるのが下世話な頭脳を持つ遺伝子(←自分)である(笑)。

まぁ、画期的なことには違いないだろうが、遺伝子の謎が全て解明された暁には、能力、体質、病気などがあらわになるのだから究極の個人情報と言えなくもない。博士の二人の息子のうち一人には精神疾患があるそうだから、そのあたりも含めての英断なのだろう。
ワトソン博士の遺伝情報をすべて数値化できれば、天才的な頭脳の部分だけ抽出して他人の脳にベクターを使って送り込むとかもできそうで、まるでバイオホラーだなぁ。

いっとき、遺伝子と宇宙関連の話題にのめり込んだことがある。理科系音痴ではあるが、元々SF好きだったし、非現実としか思えない突拍子な科学の世界にはわくわくさせられたものだが、A、T、G、Cのたった四つ塩基情報が人間の体を決定しており、それが一文字違っていてもとんでもない病を背負い込むことになりかねない世界は面白くもあり恐ろしくもある。

遺伝子による疾患の解明が進めば、その部分だけを叩くような治療法も開発されるだろう。ただし、事前に病気になることが分かって不利益を被ることもあるだろうし、不安にも陥るというものだ。

そういえば、自分はアルコールを受け付けない体質だが、これは東アジアで生まれた一人の突然変異の遺伝子が広まったのだという本(下記)を読んだことがある。弥生人として渡来した中にそういう人間がいたそうで、縄文人は飲んべえだったという説だが、そういうことなら、世の中の飲めない人間は皆同じ遺伝子からの子孫と言うことになりそうで、こういう想像も楽しい(笑)。