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ハナシにならん! 笑酔亭梅寿謎解噺2/田中啓文 

更正するために破天荒な落語家に弟子入りさせられたら天稟を示してしまった元暴走族星祭竜二が、落語の現場で起こるちょっとした謎を解いてみせる連作爆笑青春ミステリー「ハナシが違う!」に続く第二弾である。乱暴者だか侠気と愛嬌がある笑酔亭梅寿師匠が何ともユニークで、前作はとても面白かった。

今回、関西代表の一人として落語家グランプリに出場した竜二だが、江戸落語の「粋」にあてられ、上方落語は粋ではないと言われて自信を失ってしまう。しかしそこを粋(すい)な高座で救ってるのが梅寿師匠のかっこよさである。

トークタレントの芸に学び、漫才にインスパイアされ、こけつまろびつ自分の型を探す竜二の顛末はそれなりに面白いのだが、前作よりの進歩がないというか、仕掛けが戯画化されすぎというか、ベタ過ぎてそれこそ「粋じゃない」感じがする。

最終場面、竜二は少しだけ成長し、師匠の大きさを感じさせて良かったなぁと思わせるが、そこに至る過程が今イチな感じだった。

この後の続きはあるだろうか。