日常にぽっかりと開くミステリーゾーンや、人間関係の奇妙さを描くファンタジー・ショートショートだが、ボーイズラブっぽい話がやたらと多く、この作家の得意技だろうかと思った(笑)。怖くて切ないファンタジーや、さらりと美しく爽やかなボーイズなど、なかなか楽しめる作品集になっている。
「或るときは異界と交じり、或るときは時空を超え、妖しく煌めく14の極上ストーリーが詰まった玉手函」といのがキャッチフレーズだが、ほんの少し古風な仮名遣いなどで非日常感を醸し出す感じは、作風は全然違うが梨木香歩に似たものを感じた。