本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

凶刃/藤沢周平

用心棒日月抄シリーズ第4弾は十四年の歳月を経て後の物語である。幕府隠密とのいざこざから将軍に嫌みを言われた藩主は、藩内隠密組織嗅足組を解散するよう指示、そして江戸詰になる青江又八郎に、江戸嗅足組への指令が託される。「用心棒日月抄」「刺客」…

天切り松闇がたり 第四巻 昭和侠盗伝

警察署も留置所も刑務所もフリーパス、歴代警視総監が厚遇する伝説の怪盗・天切り松が、往事の活躍を物語る痛快ピカレスクロマンの第四巻。松蔵は、ろくでなしの父親に9才で、東京中の犯罪者に一目置かれる目細の安吉親分に売られ、以来、手下になっている…

産霊山秘録/半村良

ハルキ文庫から出ていたものを二十数年ぶりに再読。雰囲気に古くささは感じるものの、やはり飛び切り奇想天外で面白かった。古代、天皇より上に位置し、特異な能力を誇ったヒ一族の末裔は、朝廷と世の中の平和を希求する勅忍となっており、乱世を収めるのは…

放擲〜

読んでいた二冊組時代小説の下巻に入ったところで、あまりの煩雑さに放擲してしまった。冒頭はスリリングで面白かったのである。ある大藩に仕掛けられた秘訓を巡り、二人の権力者がひそひそ話をしているのだ。これが発動して役に立つのは五十年後か百年後か…

夜は短し歩けよ乙女

クラブの後輩(黒髪の乙女)に思いを寄せる男と、黒髪の乙女が交互に語り手になりながら、妖しげな京都の町やキャンパスで繰り広げられる冒険をコミカルに描いたファンタジー風青春小説でもあろうか。黒髪の乙女は天真爛漫なお嬢様風の語り口だが、相当に素…

たば風/宇江佐真理 

このところ松前藩がらみの著作が多い著者だが、この短編集にも「蝦夷拾遺」という副題が付いている。「たば風」 許嫁が中風に倒れたために他家へ嫁いだまなだが、藩内が二つに割れ、まなの夫が藩主側近であったことから危機にさらされることになる。夫は城に…