本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

エンド・ゲーム/恩田陸

特異な能力を持つが故に権力に利用されることを恐れ、ひっそりと暮らしてきた常野一族を描く常野物語シリーズの第三弾。しかし第一部の「光の帝国」とはだいぶ趣が変わっていて、今回はインナースペースを舞台にしたサイコホラーの感触。敵である「あれ」と…

金春屋ゴメス/西條 奈加

第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。近未来の北関東の一画に、国として独立したバーチャルな江戸があるという設定で、江戸から日本へ脱出した父親の求めに応じ、幼い頃の記憶を取り戻すために江戸入りした青年・辰次郎を主人公にしている。江戸は元…

竹千代を盗め/岩井三四二 

桶狭間で今川が織田に大敗し、松平元康(後の徳川家康)が今川から離反し始めた頃、甲賀の忍・伴家一族に、元康麾下の酒井雅楽頭が、今川の人質になっている元康の妻子を救い出してくれという依頼が来る。頭領の与七郎は、喜び勇んでこの仕事を引き受けるが…

落下する緑/田中啓文

ジャズミュージシャンのコンビが音楽の現場で起きるさまざまな謎を解く連作ミステリー。光文社の文芸オーディションで鮎川哲也の選に入ったデビュー作を連作化したもので、編者側からギャグもグロもダジャレも禁止という命が入っていたらしいが、その割りに…