本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

早春賦/山田正紀

戦国の気風が残る江戸初期、八王子千人同心を差配してきた大久保長安の死後、千人同心の間に持ち上がった騒動を、17才の少年たちを中心に描いた時代青春小説。少年から青年への成長を、八王子の特産になった養蚕の齢に例え、上手い効果を上げている。半士…

幸福ロケット/山本幸久

「笑う招き猫」「はなうた日和」等、軽妙でペーソスのあるユーモア小説が持ち味の著者だが、ポプラ社から出ているし、児童文学だろうか。10才の山田香な子には、不満が三つあった。誕生日がクリスマス・イブであること、山田という軽い名字、両親が仲が良…

褐色の文豪/佐藤賢一

「黒い悪魔」に続き、デュマ家の血筋を描いた歴史評伝小説。ヴィレル・コトレの片田舎で長じた二代目アレクサンドル・デュマは、無邪気で無責任で陽気な快男子で、亡命貴族の子息である友人の影響で文学に目覚め、パリに出て劇作家を目指す。生来が人好きの…

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ/滝本竜彦

第五回角川学園小説大賞受賞作だそうである。親の転勤により下宿屋で一人暮らしをしているやや自堕落な高校生・山本が、不死身のチェーンソー男と死闘を繰り広げる女子高生・雪絵に遭遇する。退屈に苛まれていた山本は戦う女子高生の姿に感動し、「共に戦う…